メダカと我が家の空即是色

或る日突然にメダカと暮らすことになった我が家にまつわるエトセトラを、その日そのときの気分で綴ります。

第13夜「メダカに関するその後~現在までの軌跡-その3-」

皆さまこんにちは^^

今日も今日とて、もんこです。

 

さて、今回のエントリーはまさに回顧録そのものとなります。

 

時は、2011年3月11日の15時少し前のこと。

空には多少雲が混じってはいましたが、穏やかな春の一日に見えました。

ところが突然に何の前触れもなく、それは起こったのでありました。

 

その日その時、おそらくは幸いにして私はメダカたちと共に家におりました。

そして始まりは、そこまで驚くものではありませんでした。

 

「?」

 

少しずつですが確かに揺れ始め、一方では日常的に地震の多い日本のこととて。

いつものように軽い地震が起きたのだろう、という程度にしか考えていませんでした。

 

ところがその僅かな揺れは時間の経過とともに激しさを増し、やがて様々なものが落ちていく音が聞こえるようになるにつれ、信じられないほど長くそして激しいものへと変化をしていったのです。

 

何かが、おかしい。

普段の地震とは、明らかになにかが違う。

 

関東出身の旦那と異なり、そこまで地震慣れをしていなかった私でも。

何かおかしいことが、しかし間違いなく起ころうとしていたのが分かりました。

 

その揺れは一向に収まるどころか徐々に激しさを増していき、同時に私の鼓動も高鳴る一方で嫌な予感を思わずにはいられませんでした。

そして様々に物が倒れ落ちる中、私は一目散にメダカの元へと走りました。

 

「!!!」

 

当時の水槽はベランダに火鉢水槽が1つと、ベランダへの掃き出し窓を挟んで室内に24リットルのタライ水槽1つが並ぶようにおいてありました。

 

そして、当然にメダカたちのいる水槽は激しく揺れていました。

 

「できるだけ、水量は多い方がよい」

 

そのように聞いていた私によって容積ギリギリ近くまで増やされた水は広がるばかりの揺れに合わせて段々と大きく波打ち、ついには縁を乗り越えて水槽の外へと水が溢れ出していきました。

 

ただ物事が悪化するばかりのこのような状況において、私ができたことと言えば。

激しく揺れ続けるタライを両手で押さえながら、

 

(早く、早く収まって!!早く、早く――!!)

 

といった想いを心の中で、叫び続けただけだったのです。

 

しかし、そのような私の願いをまったく無視するように揺れは収まるどころか激しさを増す一方です。

ついには地の底から響かんばかりの轟音とともに次から次へと家電製品やその他の様々なものが床へと落ちたであろう衝撃音や、破壊の兆しばかりが狭いアパート内にこだましてゆきます。

 

「あっ!!!」

 

更には、そのような刹那のこと。

一匹のメダカが、なんと宙を舞っていたのです。

その様子はまさにスローモーションを見るかのように、私の眼には映っていました。

 

普段は平静きわまるタライの中に、突如として発生した高波。

そのためにさらわれたメダカが一匹、溢れる水とともにタライの外へと放り出されていったのです。

 

床に落ちたメダカは当然のことですが、激しく暴れまわります。

もちろん私としても、すぐさま拾い上げようとしてはおりました。

 

しかし焦りもあってか、とにかく指で摘まむ加減というものが難しいのです。

そのうえ経験したことがないほど大きな揺れの中でもあり、何度も救出に失敗しながらそれでも何とかタライの中へと戻しました。

 

そのような状況の中で、私が取り得た行動は一体何だったのか。

ただひたすらに、揺れ続けるタライの縁を両手でしっかりと捕まえながら――

既に心の中の思いだけでは収まらず、空へと向かいながら「止めて~!!」という悲鳴を叫ぶのみでした。

 

それからいったい、どのくらいの時間が経ったのでしょう。

揺れは一旦ですが、確かに収まりはしました。

 

そののち茫然とした状態で辺りを見渡すと、部屋中のいたるところで物が散乱していました。

もちろん、水槽から溢れ出た水で床一面は水浸しです。

 

外からは救急車や、消防車のサイレンだけがけたたましく鳴り響いていました。

そのような状況のためタライの水はすでに半分以下に減り、濁って酷い状態になっていたものの辛うじてメダカ達は全員無事でした。

 

ベランダの火鉢水槽も水は減っていましたが、縁がネズミ返しのように内側にせり出していたおかげかタライほどは水の流出はありませんでした。

もちろんメダカが外へ放り出された形跡もなく、一応はこちらも全員無事でした。

 

そのことで私はとりあえず一息をついたものの、その後は停電や断水であったり様々な損害を被ったりと、お世辞にも無事と言える状況ではありませんでした。

それこそが後に東日本大震災と呼ばれる、紛れもない大災害の一つであったのです。

 


(そのうちいずれ、その4へと続きます)

 

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